突然の「パニック発作」にお困りの方へ

― パニック症(パニック障害)について ―
日常生活の中で、あるとき急に強い動悸や息苦しさ、めまいや震えなどに襲われ、「このまま死んでしまうのでは」と感じるような経験をされたことはありませんか?
病院で検査を受けても「異常はありません」と言われ、けれど自分の身体には確かに異変が起きている――。
このような経験を何度か繰り返すと、「また起きたらどうしよう」と不安になり、外出を避けたり、人混みや電車が怖くなったりすることがあります。
こうした状態は、「パニック症(以前はパニック障害と呼ばれていました)」と呼ばれるこころの病の一つです。
この病を持った人にしかわかりえない恐怖や苦悩があり、なかなか理解が得られにくく、孤独を感じやすい病でもあります。
-パニック症とは?-
パニック症は、理由もないのに突然強い恐怖や身体の異変(=パニック発作)に襲われる病気です。発作の多くは10〜30分ほどでおさまりますが、とてもつらく、命に関わるのではという強い恐怖を感じます。
最初の発作の後、「またあの恐怖が来たらどうしよう」と感じるようになり、不安が生活をしばってしまうこともあります。これを予期不安と呼びます。
さらに、発作が起きた場所や、すぐに助けを求めにくい場所を避けるようになると、広場恐怖と呼ばれる状態を伴うこともあります。
-多くの方が見落としていること-
パニック症で苦しんでいる方の中には、
「病院で診察を受け、薬を処方される」
「本やネットを頼りに、自分なりに対処しようとする」
といった方法で、がんばって症状と向き合ってきた方も少なくありません。
けれど、それでもなかなか改善せず、症状が長引いたり、慢性化してしまっているケースが多く見られます。
多くの方が、「また起こったらどうしよう」と未来のことばかりに意識が向きがちです。
ですが、本当に見つめ直すべきなのは、「初めて発作が起きる前」の暮らしや人生の背景です。
どんな生活をしていたのか。
どんな思いを抱えていたのか。
その時、自分の心や体にどんな無理をさせていたのか――。
そこに、発症につながった大切な原因や要因が隠れていることがよくあります。
薬や知識だけではたどりつけない「こころの整理と理解」が、回復への大きな鍵になります。
-原因は何でしょう?-
パニック症の原因は一つではありません。いくつかの要因が重なっていると考えられています。
・心身の疲労やストレス
・性格の傾向(心配性、几帳面など)
・脳内の神経伝達物質のバランスの変化
などが影響すると言われています。
「気のせい」「弱いから」と思ってしまう方もいらっしゃいますが、決してご自身のせいではありません。誰にでも起こりうることです。
-回復に向けて-
パニック症には、効果的な治療法がいくつかあります。
▷ お薬による治療
抗不安薬や抗うつ薬が使われることがあり、発作や不安をやわらげる助けになります。
▷ カウンセリング・心理療法
効果があるとされているのが、認知行動療法(CBT)です。
「発作が起きても命に関わるものではない」という理解を深め、回避していた場面に少しずつ慣れていく練習などを行います。
ただ、効果が限定的な方も多いのも事実です。
当オフィスでは、発症以前の生活や心の状態に丁寧に目を向けることも大切にしています。
単なる対症療法ではなく、心の奥にある背景に一緒に向き合い、無理のないペースで整えていくことが、再発を防ぎ、本当の意味での回復につながると考えています。
-おわりに-
パニック症で苦しんでいる方は、決して一人ではありません。
「また起きるかも」「誰にもわかってもらえない」そんな孤独や不安を抱えている方にこそ、安心できる場所で、少しずつご自身を取り戻していってほしいと願っています。
宇都宮カウンセリングオフィスでは、パニック症でお悩みの方への心理療法・カウンセリングもご提供しています。
「つらさをわかってほしい」「何から始めたらいいかわからない」――そんなお気持ちが芽生えたとき、どうぞお気軽にご相談ください。
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