カウンセリングは何回通えばいいですか?

私自身は「1回だけでも意味がある」と感じていますし、
専門家としては「そうでなければならない」と考えています。
しかしながら多くの方と取り組んできた経験から
「1回の意味」を重ねていくことの大切さも学んできました。
1986年の古い研究ではありますが、
Howardらの研究( 「心理療法の効果量とセッション回数」)では
・約50%の人が、8〜10回のセッションで改善を実感
・約75%の人が、20回以上で有意な改善を経験
という研究結果が出ており、臨床的な実感とも重なります。
■ 心のケアは「植物を育てる」ようなものです
心理療法は、心の悩みやつまづき、日々のストレスに対して、安心できる対話の中で少しずつ変化を育んでいく方法です。
この「変化」は一度で劇的に起こるものではなく、継続することで効果が積み重なっていくということが、多くの研究からわかっています。
畑に種をまき、水をやり、日を浴びせながら、少しずつ芽を育てるようなものです。
最初は変化が目に見えなくても、定期的に心を耕していくことで、植物の内側から自然と変化が育っていきます。
■ どのくらいで変化が芽生えるの?
これは多くの方が気になることだと思います。
実際に、心理療法の効果については、次のような研究結果が出ています。
Howardらの研究(1986) 「心理療法の効果量とセッション回数」
・約50%の人が、8〜10回のセッションで改善を実感
・約75%の人が、20回以上で有意な改善を経験
Lambert(2001) 「心理療法の成果要因の分析」
・心理療法の効果は、「治療関係」 「技法」 「クライアントの要因」に加えて、「セッションの頻度」と「継続」が重要であることを指摘
・特に初期段階では週1回のリズムが最も効果的であるとされる
つまり、週1回の行うと、2〜3ヶ月で最初の変化が見えはじめ、半年ほどで安定した変化を感じる方が多いのです。
■ なぜ「週1回」がすすめられるの?
このペースには科学的な意味があります。
心理療法では、日々の気持ちや出来事を振り返りながら、少しずつ「新しい考え方」や「感情との向き合い方」を学んでいきます。
週に1回という頻度は:
・セラピストとの信頼関係や治療同盟を築きやすい
・前回の気づきを忘れずに次のステップへ進める
・安定したリズムでできる
心の変化は時間をかけて進むため、定期的な振り返りと対話が必要です。
あまり間が空きすぎると、前回の気づきが薄れたり、感情や状況の流れが断続的になってしまう可能性があります。
「週1回」であれば、日常の変化をセラピーに持ち込みやすく、連続性と安定性を保ちながら内面の変化を促せるという利点があります。
こうした理由から、APA(米国心理学会 Division 12)の推奨でも、週1回が最も効果的とされています。
■ たとえば、こんなイメージです
・植物を育てる:その植物に適した必要なものを、必要なタイミングで、適切に続けることによって、開花し、実を結んでいきます。
・リハビリ:怪我のあとはすぐに動かなくても、適切な頻度でリハビリをすれば、自然と動きが戻るように、心の機能も、無理なく段階的に回復していきます。
・筋トレ:適切な頻度でジムに通い運動すれば、身体が少しずつ作られるように、心も定期的に動かすことで機能を取り戻します。
週1回の心理療法は、こころの変化を育てるために適切なタイミングなのです。
■ でも、無理のないペースで大丈夫です
研究が「週1回が効果的」と示していても、生活の中でそれが難しいこともあります。
仕事、体調、家庭の事情——どれも大切です。
無理なく続けられることが何よりも大切です。
体調やお仕事・生活のご都合に応じて、2週に1回や4週に1回など、調整も可能です。
大切なのは、「完璧にやること」よりも「続けること」。
一緒に相談しながら、あなたにとって最も安心して取り組めるペースを探していきましょう。
【参考文献】
Howard, K. I., Kopta, S. M., Krause, M. S., & Orlinsky, D. E. (1986). The dose–effect relationship in psychotherapy. American Psychologist, 41(2), 159–164.
Lambert, M. J. (2001). Psychotherapy outcome research: Implications for integrative and eclectic therapists. In Norcross & Goldfried (Eds.), Handbook of Psychotherapy Integration.
American Psychological Association (APA), Division 12. Evidence-Based Practice Resources. Retrieved from https://div12.org/


